2009年 10月 02日
なんとカレー蕎麦が名物だった I毛屋
|
高校生のアルバイト男子くんが水をもってやってくる。そしてメニューを開いて置いていく。そこには、ここがカレー蕎麦を売りにしていることがハッキリと明示してある。なるほど。そうね、こういうのもいいかもね。迷った末に私が選んだのは、魚天カレーつけ蕎麦。頼んだ時には分からなかったのだが、魚天とはキス天のことであった。
厨房はオープンキッチンになっており、この時間、女将さんが一人で切り盛りしながら、アルバイト君にいろいろと指示をし教えている。
ややあって、馴染みの風情の男性客がやってくる。私の目の前の小上がりに腰を下ろし、メニューも見ずに天丼セットを注文している。なるほど、そういうものもあったか。しかし今日はこれから東京まで帰らなければならない。天丼セットなど食べてしまっては途中眠くなりそうだった。
さて大釜で蕎麦が茹であがったようである。が、しかし、それは女性客の蕎麦だった。私の分はもう少し時間がかかりそうだ。ならばとトイレに立つ。四角いスペースを占める厨房の左を抜けて、古風なトイレに向かう。ややや、トレイの前を通り過ぎると、その奥にはかなり大きな座敷のスペースがあるではないか。この佇まいはいい。ああ、混んでいたなら、ここの一角に通されたかも知れないなあ。といつもとは逆のことを考える。
暫くして、厨房からカレーの風味が立ちのぼってくる。それに天ぷらを揚げる音が重なる。もうそろそろである。
私の前に現れた魚天カレーつけ蕎麦は、ちょっとイメージと違うものだった。というより、理由もなく「こういうものだったのか」と少々驚いたという方が正しい。
大ぶりの鉢の中には玉葱と豚肉が入ったカレーつけ汁。その上に白い揚げたてのキス天が二尾。(化粧衣がやや過ぎるような気もしたが、これがカレーの汁を吸ってそれほど悪くなかった)。そして十分な量の冷たい蕎麦。まあ、カレーにつけて食べるのだから、蕎麦はある程度不問である(笑)。機械打ちなのだろうが、しっかりとコシがあってよい感じだ。つけ汁に負けない存在感とでもいおうか。
天ぷらはさくさくである。しかし淡白なキスは、カレーの中に埋もれてしまってそれ自体の微妙な風味を楽しむということにはならない。全体の中のアクセントの役割だ。しかし、食べ始めてみた驚いたのは、そのボリュームである。つけ汁がけっこうな量なのだ。そして蕎麦もたっぷり。程よい辛さにコクがあって、カレー蕎麦を売りにするだけのことはある。次第に身体が温まって、汗が噴き出てくる。いやあ、お腹いっぱいである。
蕎麦自体が旨かったのかどうかはともかくとして、一品の出来としてはK七よりこちらに軍配を上げたい。
そうそう、途中、大女将が出てきて、「今日は祭りだから、みんなそっちに行っちゃって、お客が少なくて困るよ」とこぼしていた。祭りの後の打ち上げに、夜は満席だそうだ。なるほどね。
ごちそうさま。
by mesinosuke
| 2009-10-02 16:30
| trips