2007年 02月 23日
S橋T八で、ちらしを食べてみた
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朝一直行の打ち合わせが長引いて、終わってみればもう昼時である。放り出されたのはO成門。さて、どうするか。ここからS橋はけっこう近いはずだ。蕎麦の食べられる、あの割烹にも行ってみたいが、S橋T八を再訪してみることにした。ま、絶対に入れるという確信があったので。
猥雑なニューS橋ビル。片言の日本語で、足ツボマッサージいかがですかあ、と誘われる。アジアなのである。ここにくるとむしろT八のほうが異質な感じがしてしまう。
躊躇わずに引き戸を引く。
「いらっしゃいまし」と声がかかる。
先客は年配の男性と中年女性の二人組。握りを食べている。
「ちらし、あります?」と飯台の中の若い衆に聞く。
「はい」
「じゃ、ちらしを」
別の若い子から尋ねられる。
「お飲み物は」
「お茶で」
きょうは長丁場なのだ。ここでアルコールを口にするわけにはいかない。
先客二人に握り終わったところで、親方はちらしに取りかかる。
塗りの箱は、J保町のそれとほぼ同じ大きさだが、質感が足りない印象だし、
やや朽ちてしまっている。
J保町だと、ここでご飯の量を決めるための恒例のやりとりがあるのだが、ふらりと訪れた二度目の客には、そんな声はかからない。
できあがってきたちらしを見ると、卵の配し方が今のJ保町とは違う。だが、先代はこうしていたような記憶も朧気ながらある。最も違うのは、こちらにはいくらがのっかっていることだ。J保町にはいくらというねたがない。その他のねたはほぼ同じ。穴子、蛸、鮪(S橋は赤み系と中トロ系の二切れがもってあったが、J保町は違ったような……)、烏賊、小鰭、平目、赤貝、はしら、卵。こんなところである。
さて、さてと食べ始めると、ご飯がちょっと違う。バランスがほんの少し違うというだけなのだが、つくり手が違うのだから当たり前なのだが、明らかに違う。このちらしのご飯は、もちろん酢飯だが、それだけではない。ガリを千切りにしたものともみ海苔を混ぜ込むのである。これが香りを豊かにして握りと違ったちらしの旨さをつくり出す。このガリと海苔のバランスが違うのである。J保町の方がガリが利いている。そしてそちらの方が私の好みだ。
S八のよいところは、吸い物が付くところだ。きょうは蛤の吸い物。先代譲りの一品である。豆腐と三つ葉。さっぱりと楽しむ。
一見物足りなそうに見えるのだが、どうしてけっこうお腹いっぱいになる。いろいろなねたを楽しみたければ、ちらしは意外とコストパフォーマンスがよいのである。
ごちそうさま。
S橋T八に関する以前の記事はこちら>>>「継承されていた男鮨 S橋T八」
2006年の今日の記事はありません。
2005年の今日の記事はこちら>>>「鳥ももの香ばしいパン粉焼き」
2004年の今日の記事はありません。
□□□きょうの「食」ヘッドライン・ニュース□□□
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猥雑なニューS橋ビル。片言の日本語で、足ツボマッサージいかがですかあ、と誘われる。アジアなのである。ここにくるとむしろT八のほうが異質な感じがしてしまう。
躊躇わずに引き戸を引く。
「いらっしゃいまし」と声がかかる。
先客は年配の男性と中年女性の二人組。握りを食べている。
「ちらし、あります?」と飯台の中の若い衆に聞く。
「はい」
「じゃ、ちらしを」
別の若い子から尋ねられる。
「お飲み物は」
「お茶で」
きょうは長丁場なのだ。ここでアルコールを口にするわけにはいかない。
先客二人に握り終わったところで、親方はちらしに取りかかる。
塗りの箱は、J保町のそれとほぼ同じ大きさだが、質感が足りない印象だし、
やや朽ちてしまっている。
J保町だと、ここでご飯の量を決めるための恒例のやりとりがあるのだが、ふらりと訪れた二度目の客には、そんな声はかからない。
できあがってきたちらしを見ると、卵の配し方が今のJ保町とは違う。だが、先代はこうしていたような記憶も朧気ながらある。最も違うのは、こちらにはいくらがのっかっていることだ。J保町にはいくらというねたがない。その他のねたはほぼ同じ。穴子、蛸、鮪(S橋は赤み系と中トロ系の二切れがもってあったが、J保町は違ったような……)、烏賊、小鰭、平目、赤貝、はしら、卵。こんなところである。
さて、さてと食べ始めると、ご飯がちょっと違う。バランスがほんの少し違うというだけなのだが、つくり手が違うのだから当たり前なのだが、明らかに違う。このちらしのご飯は、もちろん酢飯だが、それだけではない。ガリを千切りにしたものともみ海苔を混ぜ込むのである。これが香りを豊かにして握りと違ったちらしの旨さをつくり出す。このガリと海苔のバランスが違うのである。J保町の方がガリが利いている。そしてそちらの方が私の好みだ。
S八のよいところは、吸い物が付くところだ。きょうは蛤の吸い物。先代譲りの一品である。豆腐と三つ葉。さっぱりと楽しむ。
一見物足りなそうに見えるのだが、どうしてけっこうお腹いっぱいになる。いろいろなねたを楽しみたければ、ちらしは意外とコストパフォーマンスがよいのである。
ごちそうさま。
S橋T八に関する以前の記事はこちら>>>「継承されていた男鮨 S橋T八」
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by mesinosuke
| 2007-02-23 14:27
| ▷sushi