2008年 03月 24日
つらつらと蕎麦のことを話したIおかの夜
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この日、一人酒の機会が巡ってきた。どこへ行こうか。一番心惹かれたのは、ずっとご無沙汰してしまっているK田だ。夏祭りのあの日、五時半前に満席で入れなかったとき以来、一度も行けていないのだ。
しかし、開店時間にK田に入ることなど叶うわけがない。しかも春の冷たい雨が降っている。K田に振られたときのことが頭を過ぎる。う〜む、だんだんと腰が重くなる。
ならば、どこか。ここはIおかだな。だが、Iおかならばあと一時間しかない。行くなら迷っている暇はない。すわっ、Iおかへ!
引き戸を開ける。先客はなし。どちらかというとそろそろおしまいにしてしまおうかという雰囲気がどことなく感じられる、仕舞い間近のIおか。
「こんばんは」
「いらっしゃいませ」と奥からご主人の声。
目線があったところで、「生憎の天気になりましたね」ともう一声。
この彼の古風な挨拶がけっこう気に入っている。
「ビールください」
「中瓶でよろしいですか?」
「ええ、中瓶で」
といったものの、たまには冷たい酒を飲むかという気にもなったので、即座に変更。
「やっぱり小瓶にしてください」
「かしこまりました」
メニューを見ていると、ややや、酒肴が増えているぞ。
「小鰺の南蛮漬けもありますので」とご主人。
「ぎんなんと、南蛮漬けを」
「はい、かしこまりました」
いつもの鰊が出てくる。続いて件の大根もいただいてしまう。
小瓶をあっという間に飲んでしまって、やっぱりKりん山の燗を頼んでしまう。
ここらあたりで、ご主人とM蔵野に行った話をする。天丼の話。蕎麦の打ち方の話。娘さんの話。エトセトラ。
お酒をお代わりして、茎若布ときゅうりの酢の物に蛸のお刺身をもらう。実は湯豆腐にも惹かれたのだが……。
「蛸は、山葵にしますか、ポン酢にしましょうか」
「山葵で」
「かしこまりました」
閉店の時間が迫ってくる。私以外の客はいない。ご主人と蕎麦の話をしてみる。ここのところのいろいろな変化について。思っていることなど。その中で改めてご主人の理想とする蕎麦のあり方について話が聞けたのが楽しかった。
最後にせいろを大盛りで。話を聞いたあとに手繰るせいろは、「そうか、そういうことだったのか」と合点がいって、なかなか美味だった。
ほぼ定刻。暇を告げる。ふわり、よい時間だった。春の雨はまだ降り続いているようだ。
Iおかに関する以前の記事はこちら>>>「新蕎麦の貼り紙を眺めながら、なかなかいけなかったIおかに」
2007年の今日の記事はありません。
2006年の今日の記事はこちら>>>「フラフラと吸い寄せられるようにバルへ」
2005年の今日の記事はこちら>>>「シンプルで、頗るおいしいグリーンピースご飯」
2004年の今日の記事はありません。
□□□きょうの「食」ヘッドライン・ニュース□□□
江戸前ハマグリ復活 40年ぶり市場へ
(アサヒ・コムから)
しかし、開店時間にK田に入ることなど叶うわけがない。しかも春の冷たい雨が降っている。K田に振られたときのことが頭を過ぎる。う〜む、だんだんと腰が重くなる。
ならば、どこか。ここはIおかだな。だが、Iおかならばあと一時間しかない。行くなら迷っている暇はない。すわっ、Iおかへ!
引き戸を開ける。先客はなし。どちらかというとそろそろおしまいにしてしまおうかという雰囲気がどことなく感じられる、仕舞い間近のIおか。
「こんばんは」
「いらっしゃいませ」と奥からご主人の声。
目線があったところで、「生憎の天気になりましたね」ともう一声。
この彼の古風な挨拶がけっこう気に入っている。
「ビールください」
「中瓶でよろしいですか?」
「ええ、中瓶で」
といったものの、たまには冷たい酒を飲むかという気にもなったので、即座に変更。
「やっぱり小瓶にしてください」
「かしこまりました」
メニューを見ていると、ややや、酒肴が増えているぞ。
「小鰺の南蛮漬けもありますので」とご主人。
「ぎんなんと、南蛮漬けを」
「はい、かしこまりました」
いつもの鰊が出てくる。続いて件の大根もいただいてしまう。
小瓶をあっという間に飲んでしまって、やっぱりKりん山の燗を頼んでしまう。
ここらあたりで、ご主人とM蔵野に行った話をする。天丼の話。蕎麦の打ち方の話。娘さんの話。エトセトラ。
お酒をお代わりして、茎若布ときゅうりの酢の物に蛸のお刺身をもらう。実は湯豆腐にも惹かれたのだが……。
「蛸は、山葵にしますか、ポン酢にしましょうか」
「山葵で」
「かしこまりました」
閉店の時間が迫ってくる。私以外の客はいない。ご主人と蕎麦の話をしてみる。ここのところのいろいろな変化について。思っていることなど。その中で改めてご主人の理想とする蕎麦のあり方について話が聞けたのが楽しかった。
最後にせいろを大盛りで。話を聞いたあとに手繰るせいろは、「そうか、そういうことだったのか」と合点がいって、なかなか美味だった。
ほぼ定刻。暇を告げる。ふわり、よい時間だった。春の雨はまだ降り続いているようだ。
Iおかに関する以前の記事はこちら>>>「新蕎麦の貼り紙を眺めながら、なかなかいけなかったIおかに」
2007年の今日の記事はありません。
2006年の今日の記事はこちら>>>「フラフラと吸い寄せられるようにバルへ」
2005年の今日の記事はこちら>>>「シンプルで、頗るおいしいグリーンピースご飯」
2004年の今日の記事はありません。
□□□きょうの「食」ヘッドライン・ニュース□□□
江戸前ハマグリ復活 40年ぶり市場へ
(アサヒ・コムから)
by mesinosuke
| 2008-03-24 15:42
| ▷soba