2007年 12月 14日
その男、近眼につき
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E後屋は、時にものすごく混む。そうなれば時間をずらして昼食をとろうと思うのが人情で、昼食時間がだんだんと後ろへずれていった。がしかし。多くのE後屋erが同じように考えた結果、混む時間帯が後ろへずれただけというのが最近の状況である。
そこでコアタイムにE後屋を覗いてみる。まったりと空いているではないか。煙害を受けにくい位置に座り、注文を告げる。「五目ご飯、味噌汁、お浸し、金平」。これで四百九十円。しばらくNHKなどをぼんやり見ていると、あの男がやってきた。Mヤタの自転車に乗ってやってくる、いつもの男。その名も「鯖味噌、納豆」男。
身長は百六十センチを少し超えた辺り。三十歳前後。黒縁の眼鏡をかけている。円らな瞳というか、ハッキリいって目がでかい。睫毛が長い。そして眉毛も濃い。お腹の辺りがなだらかに膨らんだ洋梨型の体型をしている。
この男は、おばちゃんに注文を告げるのではなく、自分で小片に注文を書くタイプだ。そしてほとんど毎回同じものを食べる。それが鯖の味噌煮と納豆である。そこにもう一品何かをつける。それは日によって違うのだけれど、七割方切り昆布煮である。ご飯は大盛り。味噌汁はつけない。
注文したものが運ばれてくると、徐に眼鏡を外す。そして何から食べ始めるかといえば、切り昆布煮にいきなり箸をつける。これを麺のように食べる。触れてしまうんじゃないかというほどに目を皿に近づけて大量に昆布を持ち上げる。左手をまったく遣わずに食べるので、目が皿や茶碗に近づいていくのである。そして大口をあけて啜り混む。この男のどうしても気になってしまうところは、常に大量に食べ物を口中に放り込む点だ。いつも歯の外側がぱんぱんに膨れた状態で食べている。
今度は大盛りのご飯だ。目玉がひっついてしまうぜ、というほどにご飯を目のそばにもってくる。そして白飯だけ三回も四回も放り込む。そしてそこにぐちゃっと崩した鯖味噌を放り込む。頬がはち切れそうだ。次は昆布だ。そして飯、飯、飯。鯖、飯、鯖。
この男を認識した頃は、最初に納豆を食べていたが、最近流儀を変更したらしく納豆は一番最後まで手をつけない。昆布、飯、飯、鯖、小骨、飯、飯。お茶すらも口をつけることなく食べ続ける男。こちらの方が苦しくなってくる。依然として左手は動かない。
そしてようやく納豆である。納豆というのはK王子魯山人先生がのたまったように、混ぜてなんぼの食べ物である。しかしこの男。ほんのお義理程度にしか混ぜない。目玉に納豆が付きそうである。それで残り少なくなったご飯に全量乗せてしまう。そこから突っついたり、ちょっと混ぜたり。呼吸を整えるが如くささやかな儀式があり、ぐわぁあ〜と飯をかき込み出すのである。
最後に、やはりこの男も箸をちゃんと使えないことをご報告しておく。この男とデートする女性は、目の前でこんな食べ方をされてどんな気分だろう、などとついつい余計なことまで考えながら、やはり目は男に釘付けになってしまうのだ。
ごちそうさま。
SFSに関する以前の記事はこちら>>>「今年もご報告しておきます」
2006年の今日の記事はこちら>>>「S谷にひっそり S山」
2005年の今日の記事はこちら>>>「浪花の街をふらふら 立ち飲みでクロージング」
2004年の今日の記事はこちら>>>「活き帆立をバターソテー」
□□□きょうの「食」ヘッドライン・ニュース□□□
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そこでコアタイムにE後屋を覗いてみる。まったりと空いているではないか。煙害を受けにくい位置に座り、注文を告げる。「五目ご飯、味噌汁、お浸し、金平」。これで四百九十円。しばらくNHKなどをぼんやり見ていると、あの男がやってきた。Mヤタの自転車に乗ってやってくる、いつもの男。その名も「鯖味噌、納豆」男。
身長は百六十センチを少し超えた辺り。三十歳前後。黒縁の眼鏡をかけている。円らな瞳というか、ハッキリいって目がでかい。睫毛が長い。そして眉毛も濃い。お腹の辺りがなだらかに膨らんだ洋梨型の体型をしている。
この男は、おばちゃんに注文を告げるのではなく、自分で小片に注文を書くタイプだ。そしてほとんど毎回同じものを食べる。それが鯖の味噌煮と納豆である。そこにもう一品何かをつける。それは日によって違うのだけれど、七割方切り昆布煮である。ご飯は大盛り。味噌汁はつけない。
注文したものが運ばれてくると、徐に眼鏡を外す。そして何から食べ始めるかといえば、切り昆布煮にいきなり箸をつける。これを麺のように食べる。触れてしまうんじゃないかというほどに目を皿に近づけて大量に昆布を持ち上げる。左手をまったく遣わずに食べるので、目が皿や茶碗に近づいていくのである。そして大口をあけて啜り混む。この男のどうしても気になってしまうところは、常に大量に食べ物を口中に放り込む点だ。いつも歯の外側がぱんぱんに膨れた状態で食べている。
今度は大盛りのご飯だ。目玉がひっついてしまうぜ、というほどにご飯を目のそばにもってくる。そして白飯だけ三回も四回も放り込む。そしてそこにぐちゃっと崩した鯖味噌を放り込む。頬がはち切れそうだ。次は昆布だ。そして飯、飯、飯。鯖、飯、鯖。
この男を認識した頃は、最初に納豆を食べていたが、最近流儀を変更したらしく納豆は一番最後まで手をつけない。昆布、飯、飯、鯖、小骨、飯、飯。お茶すらも口をつけることなく食べ続ける男。こちらの方が苦しくなってくる。依然として左手は動かない。
そしてようやく納豆である。納豆というのはK王子魯山人先生がのたまったように、混ぜてなんぼの食べ物である。しかしこの男。ほんのお義理程度にしか混ぜない。目玉に納豆が付きそうである。それで残り少なくなったご飯に全量乗せてしまう。そこから突っついたり、ちょっと混ぜたり。呼吸を整えるが如くささやかな儀式があり、ぐわぁあ〜と飯をかき込み出すのである。
最後に、やはりこの男も箸をちゃんと使えないことをご報告しておく。この男とデートする女性は、目の前でこんな食べ方をされてどんな気分だろう、などとついつい余計なことまで考えながら、やはり目は男に釘付けになってしまうのだ。
ごちそうさま。
SFSに関する以前の記事はこちら>>>「今年もご報告しておきます」
2006年の今日の記事はこちら>>>「S谷にひっそり S山」
2005年の今日の記事はこちら>>>「浪花の街をふらふら 立ち飲みでクロージング」
2004年の今日の記事はこちら>>>「活き帆立をバターソテー」
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by mesinosuke
| 2007-12-14 15:22
| strange funny story